「学生への連絡や面接調整に追われ、採用活動を見直す時間が取れない」
「スカウトを送りたいのに、毎日の対応だけで手いっぱい」
新卒採用を担当する中で、こうした状況になったことはありませんか。
新卒採用では、学生を集めるための媒体運用から、説明会・選考・内定後のフォローまで、多くの業務が発生します。
その一部や幅広い工程を外部に委託できるのが、RPOというサービスです。
RPOを活用すると、採用担当者は日々の実務の負担を抑えながら、採用方針の検討や面接、学生との関係づくりに時間を使いやすくなります。
ただし、任せる業務と自社で担う役割を整理しないまま導入すると、確認作業が増え、期待した効果を得られない場合もあります。
本記事では、新卒採用でRPOに依頼できる業務と活用メリット、導入前に確認しておきたい注意点を解説します。
新卒採用でもRPOを活用できる
RPOは採用業務を外部に委託するサービス
RPOとは、Recruitment Process Outsourcingの略で、企業の採用業務の一部または複数の工程を外部に委託するサービスです。
日本では「採用代行」と呼ばれることもあります。
新卒採用でも幅広い業務を依頼できる
新卒採用でも利用でき、媒体の管理や学生への連絡など、負担の大きい業務だけを依頼する方法があります。
一方、学生を集める段階から入社まで、複数の工程をまとめて支援するサービスもあります。
人材紹介との違いと対応範囲を確認する
人材紹介との違いは、主に何を依頼するかにあります。
人材紹介が候補者の紹介を中心とするのに対し、RPOは企業が行う採用活動の運用を支援します。
そのため、RPOの導入自体が応募数の増加に直結するわけではありません。
応募不足が課題なら、媒体の選び方や求人の伝え方まで見直す必要があります。
また、対応範囲は会社や契約によって異なります。
採用戦略の提案を含むのか、決められた業務の実行が中心なのかも、依頼前に確かめておきましょう。
新卒採用でRPOに依頼できる業務
委託を考えるときは、「応募者対応を任せたい」と大きく捉えるより、作業を具体的に分けると必要な支援が見えてきます。
媒体運用・スカウト配信
ナビサイトやスカウトサイトの運用では、求人情報の更新・説明会日程の登録・学生への案内などを依頼できます。
特にスカウト施策の委託にあたっては、データベースからの対象学生の検索・抽出、配信メッセージの作成、実際の配信作業、さらには返信受諾後の個別面談・説明会への案内誘導に至るまで、どのプロセスを委託範囲に含めるかを明確に切り分けて定義・合意することが重要です。
特に気をつけたいのは、配信と返信対応の分担です。
配信だけを委託しても、学生からの返信を自社で確認できなければ、せっかくの接点を次につなげられません。
承認や返信があった後、誰が・いつ・どのように連絡するかまで決めておく必要があります。
求める学生像も共有しましょう。
学部や経験などの検索条件に加え、「なぜその学生に会いたいのか」を伝えると、文面に盛り込む内容を検討しやすくなります。
採用したい人物像が曖昧な場合は、その整理から相談できるかを確認してください。
説明会対応
説明会では、予約受付・参加URLの送付・前日の確認連絡・受付・参加後の選考案内などが委託の候補になります。
会社によっては、司会進行や説明会そのものの代行にも対応しています。
ただし、仕事内容の具体例や現場の雰囲気は、社員から直接伝えたほうが理解につながる場面もあります。
予約管理や進行補助をRPOに任せ、採用担当者と現場社員は仕事の説明や質疑応答に集中する、といった分担も可能です。
説明会全体を依頼する場合は、資料の読み上げだけでなく、学生からの質問にどこまで回答できるかも確認しておきます。
応募者管理・面接調整
応募者管理では、学生情報の登録・選考状況の更新・提出書類の確認・合否連絡などを依頼できます。
複数の媒体を使っている企業では、情報をまとめ、対応漏れや連絡の重複を防ぐ運用も検討できます。
ATS(応募者情報や選考の進捗をまとめて管理する採用管理システム)を利用している場合は、自社とRPOのどちらが、どの情報を更新するかを決めておきましょう。
更新する人が曖昧だと、面接済みの学生に再び予約案内を送るといった行き違いにつながります。
面接調整は、学生との連絡に加え、面接官の予定確認や変更対応も発生する業務です。
RPOに学生との調整を任せる場合でも、自社で面接枠を確保する仕組みが必要になります。
候補日時の提示や合否判断が社内で止まれば、外部委託しても選考は進みません。
選考中の学生・内定者へのフォロー
選考中の学生には、次の選考の案内・提出物の確認・問い合わせ対応などが発生します。
内定後も、面談や懇親会の案内・出欠管理・入社前の手続きに関する連絡など、継続的な対応が必要です。
こうした定期連絡や状況の記録は、委託を検討しやすい業務です。
ただし、学生が話した不安や質問を、RPOから自社に共有する流れも用意しておきましょう。
例えば、配属先や働き方への不安が出た場合は、定型文で連絡を続けるだけでは解消できません。
RPOが相談内容を把握し、採用担当者や現場社員との面談につなぐ分担が考えられます。
連絡の頻度だけでなく、学生が知りたい情報を届けられているかが、フォローの質を左右します。
RPOを活用する3つのメリット
採用担当者が、学生と向き合う時間を確保しやすい
RPOを活用する大きなメリットは、採用担当者の時間の使い方を変えられることです。
日程調整や情報登録に時間を取られていると、説明会の内容を見直したり、学生の疑問に丁寧に答えたりする余裕がなくなります。
実務を分担することで、面接や面談、現場社員との調整に時間を充てやすくなります。
ただし、空いた時間をどう使うかまで考えておくことが大切です。
「社員面談の機会を増やす」「仕事内容を伝える資料を整える」など、導入後に取り組むことを決めておくと、業務負担の軽減を採用活動の改善につなげられます。
連絡の遅れや対応漏れを防ぎやすい
新卒採用では、説明会や選考が重なる時期に、連絡や確認作業が集中します。
担当者が別の業務を兼務していると、学生への返信が後回しになることもあります。
RPOとの間で対応時間や担当範囲を決め、連絡の状況を共有できれば、特定の担当者だけに業務が集中する状態を見直せます。
学生も次の予定を把握しやすくなり、選考を進めるうえでの行き違いを減らせます。
一方、土日や夜間の対応が必ず含まれるわけではありません。
説明会当日の急な欠席や接続トラブルなども含め、実際に必要な時間帯の対応を確認してください。
運用手順を整理し、改善を続けやすい
委託に向けて、連絡文面・学生情報の管理方法・選考の進め方を整理すると、担当者の経験だけに頼っていた業務を見直すきっかけになります。
改善提案を含む契約なら、スカウトへの反応や説明会参加状況などを共有し、運用の見直しを相談することもできます。
ただし、RPOに依頼すれば自動的にノウハウが社内に残るわけではありません。
使用した文面や業務手順、変更した内容とその結果を、自社でも確認できるようにしておきましょう。
翌年度の採用や担当者の引き継ぎに使える形で残すことが、継続的な改善につながります。
自社で担う役割を決める
採用の目的や判断は自社で決める
幅広い業務を委託する場合でも、採用の目的や判断まで曖昧にしてよいわけではありません。
採用人数・募集職種・求める学生像・待遇・評価基準などは、自社が責任を持って決定する必要があります。
戦略設計について助言を受けることはできますが、現場で必要な人材や入社後の育成環境は、社内の情報が欠かせません。
RPOに十分な情報を共有せず、「よい学生を集めてほしい」と依頼するだけでは、期待のずれが生まれます。
評価基準と報告方法をそろえる
面接を委託する場合も、評価基準と報告方法をそろえ、自社の合否判断につなげる仕組みを用意します。
また、学生が将来の上司や同僚と話す機会は、別途確保しておきたいところです。
社員が直接関わる場面も設計する
外部の担当者が窓口を担っていても、自社の社員との接点がなくなれば、学生は働く姿を具体的に想像しにくくなります。
運用を任せる範囲と、社員が直接関わる場面を一緒に設計しましょう。
RPO導入前に確認したいこと
業務範囲・対応量・費用を具体的にする
契約や仕様書に「学生フォロー込み」と記載されている場合であっても、メール配信だけなのか、個別の電話対応や面談調整まで網羅するのかによって、支援内容は変わります。
依頼したい作業を一覧にし、対象となる媒体・学生数・説明会の回数・対応期間などを伝えて見積もりを取りましょう。
想定より応募者が増えた場合の追加費用や、原稿修正・イベント当日の対応費用も確認します。
費用を比較するときは、自社に残る作業も含めて考えます。
料金が低くても、確認や修正の負担が大きければ、十分な時間を確保できない場合があります。
連絡と承認のルールを決める
導入前には、自社の窓口担当者と、RPOからの判断要請に対し最終決定を下す権限者をあらかじめ明確化しておく必要があります。
毎回複数の部署に確認しなければ進められない状態では、学生への連絡も遅れてしまいます。
こうした遅延を回避するため、あらかじめ設定したマニュアルやFAQの範囲内でRPOが即答可能な「一次回答領域」と、企業側への個別の確認を要する「要判断領域」を切り分けて定義しておく設計が有効です。
例えば、選考日程の案内や持ち物等の定型連絡はRPO側で完結させ、配属希望や労働条件に関する個別相談は企業側の採用担当者が直接対応するといった、役割分担の整理が挙げられます。
開始直後は、実際の連絡文面や対応記録を確認する時間も必要になります。
準備や引き継ぎの時間を見込み、忙しくなる前に運用を整えましょう。
学生の個人情報をどう扱うか確認する
RPOの活用においては、学生の氏名・連絡先・応募書類などの個人情報を取り扱うため、厳格な情報管理体制の構築が不可欠です。
個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」においても、個人データの取り扱いを外部へ委託する場合、委託元企業に対して必要かつ適切な監督を行わせることが法的に義務付けられています。
共有する情報の範囲・システムの閲覧権限・データの持ち出し・再委託の有無・事故が起きた際の連絡方法を確認してください。
契約終了時のデータ返却や削除についても、事前に取り決めておきます。
また、採用媒体やATSの利用規約に沿って、外部担当者が操作できる方法を確認することも必要です。
導入後は、作業量と採用への影響を確認する
業務負担と学生の進行状況をあわせて見る
RPOの効果は、配信件数や連絡件数だけでは判断できません。
自社の業務負担がどう変わったか、学生が次の段階へ進んでいるかを合わせて確認することが大切です。
まず確認したいのは、自社の作業時間です。
RPOを導入したことで、媒体更新や学生対応、日程調整などにかかる時間がどの程度減ったのかを見ます。
一方で、依頼内容の確認や修正指示に時間がかかりすぎている場合は、役割分担や確認方法を見直す必要があります。
スカウトや説明会の反応を確認する
次に、学生の反応を確認します。
スカウトを利用している場合は、配信数だけでなく、承認率や説明会予約数まで追いましょう。
配信数が増えていても承認や予約につながっていなければ、対象学生の選び方や文面の内容を見直す必要があります。
説明会を実施している場合は、予約数・参加率・選考希望者数を確認します。
予約は増えているのに参加率が低い場合は、開催日時・事前案内・リマインドの方法などに課題があるかもしれません。
参加後に選考へ進む学生が少ない場合は、説明会で伝えている仕事内容や会社の特徴が、学生の判断材料になっているかを振り返ります。
選考から内定後までの動きを追う
選考段階では、応募から初回連絡までの時間・面接参加率・辞退数を見ます。
連絡が遅れている、日程調整に時間がかかっている、面接前後で辞退が増えているといった場合は、RPO会社だけでなく、自社側の確認体制や面接官の対応も含めて見直すことが必要です。
内定後は、内定承諾率・承諾後の辞退数・学生から寄せられた相談内容を確認します。
承諾率だけでなく、どのような不安や質問が出ているかを見ることで、内定者フォローで補うべき情報が分かります。
同じ定義で比較し、次の改善につなげる
導入前後の状況を記録し、同じ定義で比較しましょう。
例えば、説明会参加率なら「予約者のうち実際に参加した学生の割合」と決めておくと、認識のずれを防げます。
数値が変わった場合は、委託の有無だけで判断せず、媒体・募集条件・採用時期の違いも確認します。
スカウトの承認が増えても説明会参加につながっていなければ、配信後の案内や開催日時を見直すなど、次の対応を具体的に決めることが大切です。
【まとめ】
新卒採用では、媒体運用・スカウト配信・応募者管理・面接調整・学生や内定者へのフォローなど、さまざまな業務をRPOに依頼できます。
最初に取り組みたいのは、現在の業務を洗い出し、「時間がかかっている作業」と「自社の社員が直接関わりたい場面」を整理することです。
そのうえで、委託する範囲・判断の分担・情報共有の方法を決めれば、導入後の運用を具体的に考えられます。
どの業務を任せるべきか迷う場合は、現在の採用フローと負担の大きい作業を整理したうえで相談してみましょう。
採用担当者が学生と向き合う時間を確保できるかという視点から、活用方法を検討してみてください。
ジーズコンサルティングでは、企業ごとの課題に合わせて採用代行の内容を調整し、媒体運用や応募者対応、入社までのフォローを支援しています。
< 出典 >
株式会社ジーズコンサルティング
「採用代行(RPO)」
「採用代行サービスのご案内」
株式会社マイナビ
「マイナビアウトソーシングサービス」
個人情報保護委員会
「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-4-4 委託先の監督