採用活動の山場といえば、選考を終え、内定を出す瞬間。ですが、ここで安心してはいけません。
多くの企業で課題となっているのが、「内定辞退」です。特に新卒採用では、複数社から内定を得ている学生が多く、入社の意思が固まるまでには不安定な時期が続きます。
人事として「やっと採用できた」と思った矢先に辞退の連絡が来るあの虚しさ——。これは多くの担当者が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
そこで注目されるのが、内定後〜入社までのフォロー施策です。効果的なフォローができれば、内定者との関係性を深め、入社意欲を高めることができます。
内定者フォローの基本的な役割と目的
内定者フォローの主な目的は、次の3点です。
1.内定辞退の防止
2.入社後のミスマッチ防止・定着促進
3.会社への愛着・エンゲージメント向上
採用活動は、「内定を出して終わり」ではなく、「入社してもらい、活躍してもらって初めて成功」と言えます。フォローの目的は、内定者に安心感と信頼感を持ってもらい、自社に入る決意を固めてもらうことです。
内定者が不安に感じるポイントとは?
内定者が辞退を考える背景には、いくつかの共通した「不安」や「迷い」があります
・他社との比較で迷っている
・社風が自分に合うか不安
・職場の人間関係が見えない
・研修・キャリアパスが不明瞭
・入社までの期間、放置されている感じがする
これらの不安は、企業からの「情報発信」や「コミュニケーション」で軽減することが可能です。内定後の丁寧なフォローが、こうした不安を払拭し、入社の決め手となります。
フォロー施策①:定期的なコミュニケーションを取る
月1回以上の連絡をルール化
内定者との定期的なやり取りは、信頼関係を築く第一歩です。メールだけでなく、LINEやチャットツールを活用して、柔軟なコミュニケーションを心がけましょう。
内容としては以下のようなものがあります:
先輩社員の声を届けるインタビュー記事、会社のニュースや社内イベントの報告、人事からの一言メッセージ、配属予定部署の紹介
コミュニケーションの頻度は「相手に合わせる」
学生の中には連絡を負担に感じる方もいます。無理に頻度を増やすのではなく、「適度な距離感」と「個別対応」がポイントです。
フォロー施策②:内定者懇親会や座談会の実施
仲間意識を育てる「内定者同士のつながり」
内定辞退が起きやすい原因の一つに、「自分だけ浮いているかもしれない」という孤独感があります。
内定者懇親会を実施することで、同期とのつながりが生まれ、「この会社に入るんだ」という気持ちが強くなります。
懇親会の形式は自由です:カジュアルなランチ会、オンライン懇親会(地方在住者向け)、社員参加型の座談会
現場社員との交流も有効
先輩社員との座談会は、会社の雰囲気をリアルに感じてもらう絶好の機会です。質問しやすい環境をつくることで、入社後のイメージがぐっと具体的になります。
フォロー施策③:内定者向けの情報提供・学びの機会
社内制度やキャリアパスの「見える化」
企業がどれだけ「働きやすさ」や「成長支援制度」を用意していても、それが伝わっていなければ意味がありません。
パンフレットだけでなく、動画や記事コンテンツとして「社員の声」や「成長ストーリー」を届けると、より伝わりやすくなります。
eラーニングや内定者研修の提供
「学びの場」を提供することで、入社に向けた準備期間をポジティブに過ごしてもらうことができます。
内定者研修を「任意参加」で用意し、自分のペースで学べる環境を整えるのも有効です。
フォロー施策④:内定者への個別対応を丁寧に
配属やキャリアに関する相談対応
配属希望や将来のキャリアについて、不安を感じている学生も多くいます。
「将来どうなりたいか」「どんな働き方を望んでいるか」をヒアリングすることで、本人にとっても企業にとっても納得度の高いマッチングが可能になります。
ライフスタイルや家庭環境に配慮した対応も
地方出身の内定者や、家庭事情を抱える内定者など、一人ひとり異なる背景を理解し、配慮ある対応を行うことが信頼構築につながります。
フォロー施策⑤:内定式・入社前イベントの活用
内定式は「特別な場」として演出を
形式的な挨拶だけで終わらせず、会社の価値観やビジョンを伝える場として活用しましょう。
社長や経営陣のメッセージは、内定者にとって大きなモチベーションになります。
入社前の「1Day就業体験」なども人気
例えば「配属予定部署で1日体験」や、「実際のプロジェクトに同行する」といったリアルな体験は、入社後のギャップを減らす効果が期待できます。
採用代行(RPO)を活用した内定者フォローの効率化
ここで、人手が足りず内定者フォローに十分なリソースが割けない…という企業に向けて、採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)の活用も視野に入れましょう。
採用代行で依頼できる主な業務例
・内定者への定期連絡や案内の送付
・イベントの企画運営
・アンケートの収集と分析
・進捗管理のシステム化
社内の担当者間でフォローが難しい場合も、採用代行を通じて内定者に寄り添ったサポートが可能です。
フォローの「やりすぎ」には注意!負担をかけすぎない工夫を
「フォローが重要だから」と言って、頻繁な連絡や過度なイベント参加を求めてしまうと、内定者にとっては逆効果になる可能性もあります。
・あくまでも「自主性」を尊重する
・「参加自由」「個別対応」を基本とする
・忙しい学生生活を妨げないよう配慮する
人事側の熱意が伝わることは大切ですが、「押しつけ」にならないよう、距離感のバランスを意識しましょう。
内定辞退を防ぐために、今から始められること
最後に、今日からでも始められる「内定者フォローの見直しポイント」を整理します。
1.定期的な情報提供とコミュニケーションの仕組み化
2.内定者イベントを年間計画に組み込む
3.現場との連携を強化し、リアルな情報を届ける
4.個別対応の柔軟性を持たせる
5.フォロー体制を属人化させない仕組みづくり
これらを実践することで、内定辞退の防止はもちろん、入社後の活躍・定着にもつながる「良質な採用活動」の実現が見えてきます。
内定者フォローは「未来の社員」への投資
内定者は、会社の将来を担う大切な存在です。
彼らが「この会社に入ってよかった」と心から思えるように、入社前からしっかりと関係を築いていくことが、これからの採用活動における重要なテーマです。
フォローの手法に正解はありません。ですが、一人ひとりに寄り添う姿勢こそが、結果的に優秀な人材の入社と定着につながっていきます。