近年の採用活動では、これまでとは少し異なる価値観や行動傾向を持つ“Z世代”と向き合うことが求められています。
「エントリー数は多いのに、選考辞退が相次ぐ…」「最終面接まで進んだのに、内定辞退された」そんな悩みを抱える人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、Z世代の特徴と、彼らに響く採用アプローチ・選考プロセスの工夫について解説していきます。
そもそも「Z世代」ってどんな世代?
Z世代とは、一般的に1990年代後半〜2010年頃に生まれた世代のことを指します。
2025年現在では、おおよそ18〜28歳前後の若者がこの世代に当たります。つまり、新卒・第二新卒・若手中途など、企業にとってこれからを担う重要な人材層です。
Z世代の主な特徴
- デジタルネイティブ:幼少期からスマホやSNSに触れて育ってきたため、情報収集力が高く、オンライン上の情報にはとても敏感です。
- 多様性を尊重:性別や国籍、働き方など、多様な価値観を受け入れる傾向があります。
- 安定志向と自己実現のバランス:安定した環境も重視しつつ、「自分らしく働くこと」も同時に大切にしています。
- 企業の“中身”をよく見ている:知名度や条件だけでなく、企業文化や働く人の価値観までしっかりチェックしています。
採用が難しくなった理由:企業とZ世代のギャップ
Z世代の就活では、企業側の「当たり前」が通用しない場面が増えています。
従来の採用フローが合わない?
昔ながらの「とにかく数を集めて、ふるいにかけていく」スタイルは、Z世代には響きにくくなっています。なぜなら、Z世代は一人ひとりが「選ばれる」こと以上に「自分が選ぶ」ことを重視しているからです。
さらに、「やりがい」「社風」「自分との相性」など、感覚的な要素も重視されるため、スペックや給与だけでは決まりにくい傾向があります。
アプローチの工夫①:企業の“リアル”を見せる
Z世代は、企業の表面的なイメージではなく、実際にどんな人が働いているのか、どんな空気感なのかを知りたがっています。
社員インタビューやSNS活用
- 若手社員の声を発信する:実際に働く社員のリアルな声や1日のスケジュールなどを、採用サイトやSNSで紹介。
- InstagramやYouTubeの活用:オフィスツアー動画や、社員との対談ライブ配信なども人気。
- 入社後のギャップを減らすためにも、ありのままの姿を見せることが大切です。
アプローチの工夫②:パーソナルな接点を増やす
Z世代は、大量に送られてくる一斉配信のメールやテンプレート的なやりとりには敏感です。
スカウトや個別連絡にひと工夫
- パーソナライズされたメッセージ:名前やプロフィールに触れた上で、その人のどこに惹かれたのかを伝えると好印象。
- 定期的な接点をもつ:説明会後のフォロー連絡や、選考前の不安ヒアリングなど、丁寧な接点が信頼につながります。
- カジュアル面談の導入:選考とは別に、気軽に会社の話が聞ける場を用意することで、応募ハードルが下がります。
アプローチの工夫③:共感を呼ぶ「企業の想い」を伝える
Z世代は、「この会社の考え方が好き」「共感できる」という感情が意思決定に大きく影響します。
ミッション・ビジョン・バリューの伝え方を工夫
- ただ理念を掲げるだけでなく、具体的な行動に落とし込んで伝えることが大事です。
- 「私たちは○○を大切にしています」→「だから、社員にはこういう考え方をしてほしい」「実際にこういう制度があります」といった形で、リアリティあるストーリーを展開しましょう。
- 社長メッセージや創業ストーリーも、感情に訴えるコンテンツとして有効です。
選考プロセスの工夫①:スピードと柔軟性
Z世代の就活では、「スピード感」がとても重要です。企業の対応が遅れると、「関心がないのかな?」と感じて他社に流れることも少なくありません。
スムーズな選考フローを設計
- 選考回数は3回以内に:長すぎると離脱の原因に。
- 日程調整の柔軟さ:オンライン選考や夜間面談など、学生の都合に合わせた調整が好まれます。
- 選考中のフィードバック:面接結果のフィードバックを伝えることで、誠実さが伝わります。
選考プロセスの工夫②:対話型の面接スタイル
Z世代には、圧迫面接や一方的な質問攻めは逆効果です。
双方向のコミュニケーションを意識
- 質問の意図を伝える:どんなことを知りたくて聞いているのか、面接官が先に共有すると安心感につながります。
- 逆質問の時間を多めにとる:候補者が気になることを自由に聞ける時間を意識的に設けましょう。
- 面接官の人柄も重視されるため、あたたかく、フラットな姿勢での対応が好まれます。
内定後フォローで差がつく
せっかく内定を出しても、辞退されてしまっては元も子もありません。Z世代は「比較して選ぶ」傾向が強いため、内定後のフォローで差別化を図りましょう。
定期的な接点と情報提供
- 内定者向けメルマガや動画配信:会社の裏話や、若手社員からのメッセージなど。
- ランチ会・オフ会の開催:他の内定者と交流することで、「入社後の不安」が解消されます。
- 入社前研修の工夫:堅苦しくなく、ワクワクするようなコンテンツで会社への理解と愛着を深めます。
採用担当者として意識したいこと
Z世代の採用には、従来のやり方をそのまま踏襲するのではなく、柔軟に変化に対応していく姿勢が何よりも大切です。
採用は「広報」でもあり「マーケティング」でもある
Z世代に対しては、ただ情報を伝えるだけでなく、「どう伝えるか」「どこで伝えるか」も重要になります。SNS運用や口コミ対策、ブランディングの強化も採用活動の一部と考えていきましょう。
一人ひとりを大切にする姿勢がカギ
どんなに素晴らしい制度や社風があっても、「この会社に入社したい」と感じてもらうためには、目の前の一人に向き合う丁寧さが何よりも効果的です。
Z世代採用のポイントを押さえて未来の戦力を確保しよう
Z世代の採用では、「リアルな情報発信」「パーソナルな接点」「柔軟な選考プロセス」「共感を呼ぶメッセージ」が成功のカギです。
どの世代にも共通する“誠実さ”をベースにしつつ、時代に合ったアプローチを積極的に取り入れていきましょう。