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【採用の歩留まりが悪い】企業が見直すべき、採用代行とATS(採用管理システム)の連携術

【採用の歩留まりが悪い】企業が見直すべき、採用代行とATS(採用管理システム)の連携術

近年、多くの企業が「採用の歩留まりが悪い」という課題を抱えています。せっかく時間とコストをかけて応募者を集めても、書類選考での辞退、面接ドタキャン、内定辞退など、プロセスの途中で候補者が離脱してしまう——このようなケースが後を絶ちません。

採用活動の効率を上げ、歩留まりを改善するためには、「採用代行(RPO)」と「ATS(採用管理システム)」の連携がカギとなります。本記事では、採用代行とATSの役割を整理したうえで、連携によるメリットや、実際に導入する際のポイントをわかりやすくご紹介していきます。

「歩留まり」とは、採用プロセスの各段階における通過率を意味します。たとえば、 

  • 書類選考通過率
  • 一次面接通過率
  • 最終面接通過率
  • 内定受諾率

などが代表的です。 
これらの率が低い場合、歩留まりが悪い=「プロセス途中での離脱が多い」状態になります。歩留まりが悪いと、採用活動全体の生産性が下がり、リソースも無駄に消費されてしまいます。 

歩留まりの悪化には、いくつかの原因が考えられます。 

【原因1】候補者対応のスピードが遅い
採用担当者のリソース不足により、応募から面接設定までに数日以上かかってしまうことは珍しくありません。この間に候補者が他社に決めてしまうことも。 

【原因2】コミュニケーションの質にバラつきがある
メールの文面が冷たく感じたり、面接日程調整が煩雑だったりすると、候補者のモチベーションは下がってしまいます。 

【原因3】現場との連携が弱く、選考基準が曖昧
面接官ごとに評価基準が違うことで、候補者の印象も左右されやすくなります。曖昧な選考では優秀人材を逃してしまう可能性もあります。 

採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)は、企業の採用活動の一部または全部を外部の専門業者が代行するサービスです。

【採用代行の主な業務内容】 

  • 応募者対応(電話・メール)
  • スカウトメールの配信
  • 書類選考の代行
  • 面接日程の調整
  • 合否連絡の送付
  • 候補者フォロー など 

採用担当者の業務負担を大きく軽減し、より戦略的な採用活動に時間を割けるようになります。 

ATS(Applicant Tracking System)は、候補者の情報を一元管理し、採用プロセス全体を効率的に運用するためのシステムです。 

【ATSの主な機能】 

  • 応募者データの自動取り込み 
  • 面接スケジュール管理 
  • 評価シートの共有 
  • メールテンプレートによる一斉連絡 
  • 歩留まりデータの可視化 など 

ATSを導入することで、採用活動の属人化を防ぎ、誰でも同じ水準の対応が可能になります。

採用代行とATSは、それぞれ単体でも効果を発揮しますが、連携することで「情報の一元管理」と「対応スピードの向上」が実現し、歩留まりの改善に直結します。
以下のようなイメージです。

【連携によるメリット1】応募者対応の迅速化
ATSで管理されている応募情報に、採用代行がリアルタイムでアクセスできることで、スピーディーな初動対応が可能になります。

【連携によるメリット2】情報の抜け漏れ防止
応募者の志望動機や面接評価などの情報をATSに集約しておけば、採用代行と企業の採用担当者、面接官の間での情報共有がスムーズに行えます。

【連携によるメリット3】フォローアップの精度向上
選考途中の候補者や、内定承諾前のフォローを丁寧に行うことで、辞退リスクを大幅に下げることができます。ATS上で候補者のステータスを確認しながら、採用代行が適切なタイミングでフォローを入れる、という連携が鍵となります。

ここでは、実際に採用代行とATSを連携させて成果を上げている企業が実践している方法をご紹介します。

【連携術1】ATS上の通知機能を活用し、即時対応を促す
ATSに応募が入った時点で採用代行へ自動通知が行く設定にしておくことで、初動対応のスピードを確保できます。これにより、応募から面接設定までのリードタイムを短縮できます。

【連携術2】テンプレートメールで「質の高い定型対応」
ATSに定型文を登録し、採用代行がそれを使ってメール対応を行うことで、誰が対応しても一定水準以上の品質が担保されます。「御社のご対応が丁寧だった」と候補者に好印象を与えることができます。

【連携術3】ステータス管理とタスク分担の明確化
ATS上で「誰が、どの段階で、どの業務を行うか」を明確にしておくことで、業務の属人化を防ぎます。採用代行には「日程調整・候補者フォロー」など、ATS上で割り振る形で業務設計を行いましょう。

【連携術4】定期的なレポート出力と振り返り
ATSのレポート機能を活用して、週次・月次で歩留まりを可視化し、採用代行と一緒に振り返りを実施します。ボトルネックを早期に発見し、改善策を即時に講じることができます。 

採用代行とATSの連携を成功させるためには、いくつか注意すべきポイントもあります。 

【ポイント1】ATSの操作性と連携可能な仕様か確認する
すべてのATSが外部委託先とスムーズに情報共有できる設計になっているわけではありません。閲覧権限の設定や操作性を事前に確認しておきましょう。

【ポイント2】採用代行との連携体制を最初にしっかり設計する
役割分担や業務フローが曖昧なまま進めてしまうと、手戻りやミスが発生しがちです。スタート時点で「業務マニュアル」「運用ルール」を共通理解として持つことが大切です。

【ポイント3】企業の採用方針と文化を採用代行に伝える
代行業者に任せっきりにせず、「自社らしさ」を理解してもらうことで、候補者との接点でもブレがなくなります。オリエンテーションや定期MTGの場を設けて、方針を擦り合わせていきましょう。

「歩留まりを改善したい」というと、どうしても“どこを削減するか”“どこを見直すか”といった“守り”の視点に偏りがちです。しかし、採用代行とATSの連携は、むしろ“攻め”の戦略です。
対応スピードを上げるだけでなく、候補者への丁寧なフォローや、現場とのスムーズな連携を通じて、企業の魅力を伝えきることができるようになります。

歩留まり改善には、仕組みづくりが欠かせない
「歩留まりの悪さ」は、単なる偶然や運の問題ではなく、仕組みで改善できる課題です。 

・応募者対応の質を上げる
・プロセスのスピードを改善する
・候補者フォローを丁寧に行う

これらを実現するには、採用代行とATSを「うまく連携させて使いこなす」ことが欠かせません。人事としての経験が豊富な皆さまにとっては、むしろこの連携の設計や運用にこそ、知見と工夫が活かせるはずです。
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