
年度ごとに採用市場の動きが大きく変わる中で、2026年卒(以下、26卒)の「採用後期」がどうなっていくのか、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、26卒の採用後期の動向と、それに向けた対応のポイントを解説していきます。
採用目標にまだ届いていない、内定辞退が増えている企業様も、ぜひ参考にしてください。
「採用後期」とは?いつからどんな目的で行うの?
採用後期とは、主に新卒採用の前期(3〜6月頃)を過ぎた後に実施する採用活動を指します。具体的には、7月以降の夏採用、秋採用、冬採用などが該当します。
採用後期を実施する企業には、以下のような事情があります。
• 内定辞退や歩留まりの関係で、採用人数が足りていない
• 通年採用の一環として、時期を問わず優秀な人材を探している
• 留学生や海外大生、大学院生の帰国・卒業タイミングに合わせたい
こうした背景から、後期採用は近年ますます重要性を増しており、前期で終わらせるという考え方は徐々に変わりつつあります。
26卒後期に起こりそうな動きとは?
2025年の採用市場の動向をふまえると、26卒の後期採用には次のようなトレンドが見込まれます。
1.内定辞退率のさらなる上昇
年々、学生の内定辞退率が高まっています。内定を早く出しても、他社との比較の中で辞退されるケースが後を絶ちません。
特に、スカウト型や逆求人サービス経由で複数社と接点を持っている学生が増えているため、後期での補充採用が前提になる企業も増えてくるでしょう。
2.通年採用の拡大
経団連の定めた就活ルールが実質なくなった今、通年で採用活動を行う企業が増えています。
夏以降にインターン経由で学生を選考に進めたり、秋に説明会を開催したりする企業も一般的になってきました。
今後は「前期・後期」の境目が曖昧になり、常に採用活動を継続する体制が求められる時代になりつつあります。
3.多様な人材層への注目
外国人留学生、社会人経験を持つ既卒生、専門スキルを持った院卒など、これまでアプローチしていなかった層への採用意欲が高まっているのも特徴です。こうした人材とのマッチング機会が多いのも後期採用ならではのメリットです。
採用後期のメリットと活用方法
「前期で採りきれなかったから仕方なく」ではなく、戦略的に後期採用を活用することがポイントです。以下のようなメリットがあります。
1.競合が少なくなり、自社が目立ちやすい
多くの企業が前期で採用を終了するため、後期は学生の選択肢が減ります。このタイミングでしっかり広報・選考を行えば、応募者にとって印象に残りやすく、採用に繋がりやすくなります。
2.志望度が高い学生が多い
後期に応募してくる学生の多くは、じっくりと自己分析や企業研究を進めた上で行動しているため、志望度の高い傾向があります。「なんとなく受ける」ではなく、「この会社が気になる」と思って応募してくれる可能性が高いです。
3.柔軟な選考設計が可能
後期は選考期間やステップを企業側の都合にあわせて柔軟に組み立てやすいという利点があります。たとえば、短期集中型の選考にしたり、オンライン中心の対応に切り替えたりすることで、負担を軽減できます。
後期採用に向けて準備しておきたいこと
ここからは、採用後期を見据えて、今から準備しておきたい具体的な対応策をご紹介します。
1.選考スピードを意識する
後期は学生の行動スピードも速くなります。できるだけ短期間で内定までたどり着ける選考設計を心がけましょう。例として、書類選考の即日対応や、一次・最終面接の同時実施などが挙げられます。
2.採用広報の見直し
SNSや採用ページ、就職サイトでの情報発信を通じて、企業の魅力がしっかり伝わっているか確認しましょう。特に後期は応募者数が限られるため、「この企業に会いたい」と思わせる情報発信が鍵になります。
3.採用チャネルの多様化
後期はナビサイトに頼るだけでなく、ダイレクトリクルーティング、エージェント、大学キャリアセンター、合同企業説明会など、複数のチャネルを併用することが効果的です。SNSを活用した広報活動も検討してみましょう。
4.採用チャネルの多様化
人的リソースが限られている場合は、採用代行や人材紹介会社の協力を得るのも一つの手です。短期間での候補者獲得や面接日程の調整など、外部の力をうまく取り入れて効率的に進めていくことが可能です。
-後期採用は「遅れた採用」ではない-
26卒の採用後期は、これまで以上に注目すべきフェーズとなりそうです。「前期で終わらせられなかったから」ではなく、新たな人材との出会いのチャンスとして後期採用を前向きに捉えてみましょう。
時期や手法にとらわれず、自社にとって必要な人材としっかり向き合うことが、今後ますます大切になってきます。採用市場の変化に柔軟に対応しながら、ぜひ一歩ずつ取り組んでいってください。