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【日韓の新卒採用を比較】韓国の就職市場が厳しい理由と、日本企業の採用機会

【日韓の新卒採用を比較】韓国の就職市場が厳しい理由と、日本企業の採用機会

「新卒求人を出しても応募が集まらない」「内定を出しても他社に決まってしまう」。国内の学生だけで採用計画を立てることに、限界を感じたことはありませんか。

日本では学生優位の売り手市場が続く一方、韓国では大学卒業後も就職活動を続ける若者が少なくありません。
選考では、新卒であっても専攻やインターン経験など、仕事に直結する能力を示すことを求められやすい傾向があります。

この違いは、日本企業にとって新たな採用機会になり得ます。
日本で働く意思があり、業務に必要な日本語力や専門性を持つ韓国人材まで対象を広げれば、国内採用だけでは出会えなかった候補者と接点を持てます。

ただし、「韓国は就職難だから採用しやすい」と単純に考えるのは適切ではありません。
職務内容、待遇、将来のキャリア、就労に必要な在留資格を整理し、国籍ではなく一人ひとりの適性を見極める必要があります。

本記事では、日韓の新卒市場の違いと、韓国人材の新卒採用を検討する際の進め方を解説します。

目次 表示

日韓の新卒市場を比べると、日本では企業側の採用難が目立ち、韓国では若者側の就職難がより表れています。
リクルートワークス研究所の「第43回ワークス大卒求人倍率調査」によると、2027年3月卒業予定者の大卒求人倍率は1.62倍でした。
民間企業への就職希望者1人に対して、1.62件の求人がある計算です。
求人総数は74万8,100人、就職希望者数は46万2,300人で、求人数が就職希望者数を上回っています。

また、文部科学省と厚生労働省の調査では、2026年3月卒業の大学生の就職率は98.0%でした。
この就職率は、就職を希望する学生のうち就職した人の割合です。
卒業生全体の98.0%が就職したという意味ではありませんが、日本の新卒市場が学生にとって選択肢を持ちやすい状況にあることは読み取れます。

一方、韓国の国家データ処が2026年5月に実施した青年層付加調査では、15歳から29歳の若者の雇用率は43.8%で、前年同月から2.4ポイント下がりました。
最終学校を卒業した若者400万3,000人のうち、就業者は276万人、未就業者は124万3,000人です。
卒業後に初めて賃金を得る仕事に就くまでの期間は、平均11.2か月でした。

韓国教育部などが公表した「2024年度高等教育機関卒業者就業統計」では、一般大学卒業者の就業率は62.8%でした。
ただし、日本の98.0%と韓国の62.8%は、対象者や算出方法が異なります。
数値だけを並べて「日本のほうが35.2ポイント高い」と判断することはできません。

指標から見える日韓の構造差

それでも、求人倍率、若者の雇用率、卒業後の初就職までの期間など複数の指標を合わせると、
日本は企業が学生を確保しにくく、韓国は若者が希望する仕事を得るまでに時間がかかりやすいという、対照的な構図が見えてきます。

年次を基準に進む日本型採用

日本の新卒採用には、卒業時期に合わせて多数の学生を採用し、4月にまとめて入社してもらう仕組みが根づいています。
政府が示す2027年度卒業予定者の採用日程も、広報活動は3月1日以降、採用選考は6月1日以降、正式な内定は10月1日以降が原則です。
実際の採用活動は早期化していますが、企業と学生が「卒業年度」を共通の基準にして動く点は、日本の特徴です。
研修や配属後の育成を前提に、人柄や将来性を見るポテンシャル採用も行われています。

韓国で広がる通年型の採用

韓国では、新卒一括採用と随時採用を併用する企業が多く、今後は随時採用がさらに広がると見る企業もあります。
韓国雇用労働部が公表した調査では、回答企業の79%が定期的な一括採用と随時採用を併用していました。
今後、随時採用が拡大すると予想した企業は81.6%、経験者採用が拡大すると予想した企業は70.8%でした。
そのため、卒業したばかりであることより、「募集職務で何ができるか」が問われやすくなります。

職務との接点が重視される韓国

韓国雇用労働部と韓国雇用情報院が主要企業396社を対象に行った「2025年企業採用動向調査」では、52.8%の企業が若者の採用時に専門性を優先すると回答しました。
専門性を判断する項目は、専攻が22.3%、インターンなどの職務経験が19.1%、職務関連の教育・訓練が17.4%でした。
つまり、韓国の学生は卒業前から、専攻、資格、インターン、職務教育などを通じて、応募する仕事とのつながりを示す必要があります。
日本企業が韓国人材を採用する場合も、「若手なので入社後に考える」という説明だけでは、仕事を軸に企業を選ぶ候補者に魅力が伝わりにくい可能性があります。

卒業しても就職活動が終わらない

韓国の2026年青年層付加調査では、最終学校を卒業した若者の31.1%が調査時点で未就業でした。
現在仕事に就いていない卒業者の主な活動は、職業教育や就職試験の準備が39.3%、特に活動せず時間を過ごす人が25.3%です。
また、非経済活動人口、つまり就業しておらず、求職活動もしていない人の14.5%が就職試験を準備しており、対象は一般企業が34.0%、一般職公務員が22.1%でした。
卒業した時点で就職活動が終わるとは限らず、卒業後も試験や応募準備を続ける状況が見えます。

新卒にも仕事に直結する経験が求められる

韓国企業は、単にインターン経験の有無を見るだけではありません。
前述の企業採用動向調査では、応募者の職務経験を評価する基準として、採用する職務との関連性を挙げた企業が84.0%でした。
経験の中で得た成果を挙げた企業も43.9%あります。
インターンに参加した事実だけでなく、どのような役割を担い、応募先でどう生かせるかまで説明することをおすすめします。
学生にとっては準備の負担が大きい一方、企業から見ると、職務への関心や基礎知識を持つ若手と出会える可能性があります。

最初の就職先にも厳しい目が向けられている

韓国の青年層付加調査では、初めて就いた仕事を辞めた主な理由として、報酬や労働時間などの労働条件への不満が44.4%を占めました。
就職が難しいからといって、候補者が勤務先を選ばないわけではありません。
日本企業が韓国人材に声をかける際も、「日本で働けること」だけを利点として伝えるのでは不十分です。
給与、勤務時間、勤務地、配属職種、教育体制、評価方法、今後のキャリアを明確にする必要があります。

日本語人材と出会える韓国市場

韓国には、日本語を学び、日本での就職を進路の一つとして考える若者と接点を持てる土台があります。
日本語能力試験の公式統計によると、2025年7月に韓国で行われた試験の応募者は8万1,470人でした。
このうち、最上位レベルであるN1の応募者は1万7,317人、N2は2万528人です。
受験者の全員が日本での就職を希望しているわけではありません。
ただし、日本語を学ぶ人材層が一定規模存在することは確認できます。

公的支援を通じた接点づくり

韓国産業人力公団は、K-Moveを通じて海外で働きたい若者に、職務訓練、求人紹介、現地定着などの支援を行っています。
日本就職を視野に入れる候補者へ、韓国側の公的な仕組みを通じて接触できる点も、日本企業にとっての利点です。

活躍可能性が広がる職種・領域

韓国との取引や事業展開がある企業、海外顧客への対応が必要な企業、ITや技術職を募集する企業では、
日本語力に加えて、専攻や実務経験、韓国語でのコミュニケーション力を生かせる場合があります。

国籍ではなくスキルで見る採用へ

一方で、「韓国人は日本語ができる」「韓国の若者は競争に慣れている」と一括りにするのは避けるべきです。
日本語力も仕事への考え方も個人差があります。
採用対象を国籍で決めるのではなく、自社の仕事に必要な能力を整理したうえで、候補者を探す地域を広げるという考え方が適切です。

1.最初に採用する職種と仕事を決める

海外人材を採用する際は特に、「総合職として幅広く活躍してほしい」だけでは仕事内容が伝わりません。
担当する業務、入社後半年間に任せること、必要な専門知識、使用する言語、配属予定地、異動の可能性まで整理します。
初めから多くの職種で募集するより、仕事内容を説明しやすく、現場の受け入れ担当者が決まっている1職種から始めることをおすすめします。

2.必要な日本語力を業務別に設定する

日本語能力試験のN1やN2は、候補者を探す際の目安になります。
ただし、資格だけで業務上のコミュニケーション力は判断できません。
顧客との会話が多い営業職なら、会話の速さや説明力が必要です。
技術職でも、仕様書を読む、チャットで報告する、会議で質問するなどの力が求められます。
面接では通常の受け答えに加え、業務を想定した説明、メール作成、資料読解などを組み合わせると確認しやすくなります。

3.韓国の候補者と出会う経路を選ぶ

主な接点は、韓国の大学や日本語関連学科のキャリアセンター、K-MoveやWorldJob Plusなどの海外就職支援、日韓の就職イベント、人材紹介会社、オンラインでの直接募集などとなります。
採用人数が1人から数人なら、対象職種に近い大学や支援機関を絞り、結果を見ながら広げる方法が現実的です。
求人票に韓国語または平易な日本語を併記すると、仕事内容の誤解を減らせます。
給与についても、日本円だけでなく、手取り額の目安や家賃などの生活費を説明すると、日本での暮らしを想像してもらいやすくなります。

4.選考日程と入社時期を柔軟にする

韓国の大学の卒業時期や候補者の就職活動は、日本の一括採用日程と必ずしも一致しません。
4月入社だけに限定すると、条件に合う人材を逃す場合があります。
通年で応募を受け付ける、オンライン面接を取り入れる、卒業や在留手続きに合わせて入社月を調整するなど、開始時期に幅を持たせることが有効です。
選考段階では、面接回数、結果連絡までの日数、入社までの手続きも先に伝えます。
海外から応募する候補者は、在留手続きや住居の準備も必要になるため、連絡の遅れが大きな不安につながります。

5.在留資格と入社後の受け入れを確認する

海外から採用する場合は、就労できる在留資格を確認します。
大卒者が技術職、通訳、デザイン、マーケティングなどに就く場合、「技術・人文知識・国際業務」が該当することがあります。
ただし、仕事内容、専攻、本人の経歴などで判断が異なるため、求人公開前に専門家や関係機関へ確認してください。
入社後は、仕事の研修だけでなく、住居、銀行口座、携帯電話、行政手続きなどの生活面もつまずきやすい部分です。
配属先の上司だけに任せず、人事担当者、現場の教育担当者、生活上の相談先を分けて決めておきましょう。

受け入れ前に整理すべき条件

韓国人材の新卒採用は、すべての企業に同じように向いているわけではありません。
仕事内容を具体的に示せる企業、若手を育成する担当者がいる企業、韓国やアジアとの事業接点がある企業、専門分野を持つ若手を探している企業では検討しやすいでしょう。

反対に、配属先が決まっていない、担当業務を説明できない、外国人社員の相談先を用意できないといった状態では、採用後のミスマッチにつながります。
また、国内の若手より安く採用できる人材として扱うことは避けなければなりません。
職務、能力、責任に応じた待遇を設計し、昇給や評価の基準も他の社員と同じように説明することが必要です。

採用後に見直すべき指標

採用後は、応募数だけでなく、次の項目を確認します。

・面接通過率
・内定承諾率
・在留手続きにかかった期間
・入社率
・入社6か月後と1年後の定着状況
・日本語と担当業務の習得状況
・国内採用と比較した採用費用と工数

どこに時間や費用がかかったかを記録すると、次年度の採用活動を改善しやすくなります。

外国人材の存在感が高まる日本市場

厚生労働省によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人で、前年から11.7%増え、過去最多となりました。
専門的・技術的分野の在留資格で働く人も86万5,588人まで増えています。
すでに日本の雇用市場は、外国人材なしでは語れない段階に入りつつあります。

採用対象を広げる新たな選択肢

今後、日本企業の新卒採用がすぐに海外中心へ変わるわけではありません。
しかし、国内の卒業年度と4月入社だけを基準に採用する方法から、国や卒業時期を問わず、職務に合う若手を通年で探す方法へ、選択肢が広がる可能性はあります。
同時に、日本でも専門性を踏まえた採用や、職務を明確にした採用が増えれば、日韓の採用方法の差は今より小さくなるかもしれません。

これから求められる採用視点

採用担当者に必要になるのは、「日本の新卒学生を何人採るか」だけではなく、「この仕事を担える若手は、どこにいるのか」と考える視点です。

【まとめ】
日本では企業が新卒人材を確保しにくい一方、韓国では若者が最初の仕事を得るまでに時間がかかり、専攻や職務経験を求められやすい状況があります。
この違いを踏まえると、日本で働く意思と必要な能力を持つ韓国人材は、人手不足に悩む企業にとって採用候補の一つになり得ます。
ただし、採用市場の厳しさだけを理由に募集しても、長く働いてもらうことにはつながりません。
まずは自社で不足している1職種を選び、仕事内容、日本語力、待遇、育成方法を具体的にしてください。
そのうえで、韓国の大学や公的な海外就職支援機関など、対象人材と出会える経路を小さく試すことが現実的な第一歩です。
海外人材の採用には、求人設計、候補者対応、在留手続き、入社後の支援など、国内採用とは異なる準備もあります。
社内だけで整理するのが難しい場合は、海外人材の採用に対応する紹介会社や採用支援会社、在留資格の専門家に相談しながら進める方法もあります。

< 出典 >
1.文部科学省・厚生労働省
「令和7年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)」

2.リクルートワークス研究所
「第43回ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)」

3.韓国・国家データ処
「2026년 5월 경제활동인구조사 청년층 부가조사 결과(2026年5月経済活動人口調査 青年層付加調査結果)」

4.韓国教育部・国家データ処・韓国教育開発院
「2024년도 고등교육기관 졸업자 취업통계 조사 결과 발표(2024年度高等教育機関卒業者就業統計調査結果)」

5.韓国雇用労働部・韓国雇用情報院
「2025년 기업 채용동향조사(2025年企業採用動向調査)」

6.韓国雇用労働部
「선도기업의 채용 결정요소 1위 ‘직무관련 일경험’(先導企業が採用で最も重視する項目は職務関連の実務経験)」

7.国際交流基金・日本国際教育支援協会
「2025年第1回日本語能力試験 実施国・地域別応募者数・受験者数」

8.韓国産業人力公団
「海外就職支援事業 K-Move」

9.厚生労働省
「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」

10.出入国在留管理庁
「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」

11.厚生労働省
「大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期について」

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