
新卒採用において「うちは人柄重視です」とよく耳にしますよね。
学生の経験やスキルが限られている中で、人柄や将来性に注目するのは自然な流れともいえます。
ですが、「人柄重視」を掲げるあまり、思わぬ落とし穴にハマってしまうことも…。
今回は、「人柄重視」の考え方とその注意点について解説していきます。
「人柄重視」って、どういうこと?
まずは、そもそも「人柄重視」の意味について整理しておきましょう。
一緒に働きたいと思えるかどうか
採用面接で「感じがいいな」「素直そうだな」と思うと、それだけで好印象につながりますよね。
人柄重視とは、多くの場合「この人と一緒に働けるかどうか」「チームに合いそうか」という観点での評価を指します。
コミュニケーション力や誠実さなども含まれる
「人柄」は漠然とした言葉ですが、具体的には以下のような要素が含まれます。
・ 明るさ・素直さ
・ 誠実さ・真面目さ
・ 協調性・チームワーク
・ コミュニケーション能力
こうした部分は、学生の将来の成長性やポテンシャルを見極めるうえで重要な指標でもあります。
「人柄重視」が危険なワケ
では、なぜ「人柄重視」が落とし穴になり得るのでしょうか?以下のポイントに注意が必要です。。
面接官の主観が入りやすい
「人柄」は数値で測れないため、評価が面接官の感覚に頼りがちになります。
たとえば、「感じがいい」「話しやすい」といった印象は、実は自分と似たタイプの人を評価してしまっているだけ、というケースも少なくありません。
「良い人」=「活躍できる人」ではない
学生時代にリーダー経験がなくても、地味でもコツコツと努力を重ねて成果を出す人もいます。
逆に、愛想がよくて話しやすくても、指示待ちで動けないタイプの人も。
採用後に「思っていた感じと違った…」というミスマッチの原因になります。
「雰囲気採用」になりがち
なんとなく感じがよかったから…といった曖昧な理由で内定を出してしまうと、配属後に「何が決め手で採用したのか説明できない」ということにもなりかねません。
見落としがちな評価のバイアス
「人柄重視」の中には、無意識のうちに偏った見方をしてしまう「バイアス(思い込み)」が潜んでいることもあります。
「第一印象バイアス」
最初の5分で好印象を持つと、残りの時間もその印象を基に評価してしまうことがあります。
これは心理学で「ハロー効果」と呼ばれ、評価の正確性をゆがめる要因になります。
「自分に似ているバイアス」
「なんとなく話が合う」「出身地が同じ」といった親近感で評価が甘くなってしまうケースです。
無意識に「自分に似た人」を高く評価してしまうことがあります。
「話し上手=仕事ができる」と思い込むバイアス
面接でうまく話せる人は、確かに印象に残ります。
でも、話し上手なことと業務スキルは別物。言葉が拙くても、しっかり考えを持っている学生もいます。
人柄だけでなく「行動の根拠」まで見よう
では、どのようにすればより正確な評価ができるのでしょうか?
行動事実に基づいた質問をする
人柄を判断する際には、「どんな行動をしたか」に注目しましょう。
例)
×「あなたは周囲と協力するタイプですか?」
〇「大学のグループワークで、意見が合わないメンバーがいたとき、どのように対応しましたか?」
このように、行動事実(=コンピテンシー)を聞くことで、その人の人柄や価値観がより具体的に見えてきます。
チームでの働き方や成長への意欲を確認
「素直さ」や「成長意欲」は、新卒採用において特に重要です。
これは、社会人経験がない学生が、今後どう成長していけるかを測るポイントにもなります。
例)
「これまでの経験の中で、一番悔しかったことは何ですか?それをどう乗り越えましたか?」
「人柄+α」で見る新卒採用の視点
人柄だけでなく、プラスアルファの視点を持つことで、より納得感のある採用につながります。
自社の価値観とのマッチ度
たとえば「挑戦を評価する文化」がある会社なら、リスクを取ってチャレンジした経験がある学生を評価する、というように、**「自社らしさ」**に合った人材を見極める視点を持ちましょう。
採用の基準を明確にする
「人柄」という言葉だけでなく、採用基準をあらかじめ定めておくことも重要です。
例)
・コミュニケーション力:質問に対して論理的に答えられるか
・主体性:自分から何かに取り組んだ経験があるか
このように項目化しておけば、面接官による判断のバラつきも減らせます。
まとめ :「人柄重視」は万能ではない
「人柄重視」は新卒採用において大切な視点ですが、頼りすぎると主観的な評価に偏ってしまうリスクがあります。
人事として大切なのは、学生の「印象」ではなく「行動や思考の中身」に目を向けること。そして、自社で活躍できる人材を見極めるための明確な基準を持つことです。
この記事を参考に評価基準を見直してみてください!