26卒の採用は、近年の市場動向を踏まえ、売り手市場の継続が予想されます。少子化に伴う学生数の減少と、企業の人手不足により、企業間の競争はさらに激化し、採用活動はこれまで以上に売り手市場化しています。本記事では、26卒採用におけるトレンドや学生の動向を予測し、荒波の新卒採用を勝ち抜くためのヒントをお届けしていきたいと思います。
売り手市場のさらなる加速
26卒の採用市場では、依然として「売り手市場」が強く続くと予想されます。2025年卒の求人倍率は1.75倍で、前年よりも上昇しており(前年:1.71倍)、企業の採用難易度が高いことがデータからも伺えます。企業は自社の魅力を十分に発信し、学生に「選んでもらう」状況となっているのが実態といえるでしょう。
学生数の減少と企業間競争の激化
少子化により、新卒市場に出る学生の数は年々減少しています。その結果、企業間で優秀な人材を確保するための競争が激化し、早期から採用活動を強化する動きが見られます。また昨今の不安定な社会情勢から安定性を重要視する学生が多く、大手志向の高まりも見受けられます。中小企業にとっては、より明確な差別化戦略や自社の魅力を強くアピールする必要が高まっているといえます。
ますます加速するインターンシップの重要性
26卒採用では、25卒と同様に採用活動の早期化が進むと予想されます。企業は早期からインターンシップやオープン・カンパニーを通じて、学生との接点を持ち、採用活動を前倒しで進めています。
1. インターンシップの早期実施
多くの26卒学生が、3年生の夏(2024年7月~8月)からインターンシップに参加することで、早い段階から自分のキャリアに向き合っています。25卒では、3年生の時点でインターンシップを経験した学生は8割を超え、26卒も同様の傾向が続くと見られます。企業はプレ期間で学生との接点を作り、その後のフォローで学生をつなぎとめていくことが非常に重要になってくると考えられます。
2. 学生の就職活動開始時期
26卒学生の中には、すでに大学1年生や2年生の段階からインターンシップや企業研究を始めていた学生も多く、企業側は早期のアプローチが求められます。
安定志向とタイパ重視
25卒の学生データを踏まえると、26卒でも学生の「安定志向」が強まると予想されます。特に、企業の安定性や福利厚生を重視する学生は年々増加しており、26卒でも安定している企業が引き続き人気となると思われます。
1. 安定志向の強化
25卒の学生では、企業の安定性を重視する傾向が特に顕著で、志望企業の規模や業界の安定性が就職先選びの大きな基準となっています。このため、中小企業は自社の魅力をどのようにアピールするかが採用活動成功の鍵となります。企業の知名度がなくとも、事業の安定性や将来性、ワークライフバランスや企業文化の柔軟性など、学生にとって魅力となる部分を漏れなく学生に伝えることが大切になります。
2. タイパ(タイムパフォーマンス)の重視
「タイパ」という言葉が最近の学生の間で広まっているのをご存じでしょうか。近年、時間に対する効率を重視する傾向が強まっており、就職活動においてもこの「タイパ」志向に基づいた活動を行っている学生が多いのが現状です。企業としては、オンライン選考などを活用、効率的な選考フローを設計などが学生の選考流入につながると考えられます。
内定辞退対策とフォローの重要性
26卒の採用でも、学生の複数内定保有に伴う内定辞退が重要な課題となると考えられます。26卒でもこの傾向が続くと予測され、企業は内定者フォローの強化が求められます。
内定者フォローの強化
企業は、内定を出した後も継続的なコミュニケーションを行い、内定者との関係を深める必要があります。内定者交流イベントや社員との座談会などを開催することで、企業理解や同期とのコミュニティ形成を促すなど、学生の志望度を上げるような働きかけが有効となります。
【参考】オヤカク
内定辞退を防ぐための施策として、「オヤカク」と呼ばれる働きかけをご存じでしょうか。学生の保護者に対してコミュニケーションを図り、内定承諾や入社に対する意向を確認することを「オヤカク」と呼び、近年注目を集めています。特に新卒採用では、保護者の意見が学生の意思決定に大きく影響することもあるため、企業によっては有効な施策となるかもしれません。
26卒採用は、売り手市場と早期化のさらなる進展が予測されます。企業は、学生の安定志向やタイパ重視の傾向、効率的な選考フローの設計など、学生に合わせた打ち出しが必要になってくると思われます。また、せっかく内定を出した学生に辞退されてしてしまうことを防ぐため、企業側の内定者フォロー強化も欠かせません。これまで記述したポイントを押さえながら、26卒採用を乗り切っていきましょう。